君の瞳に囚われて(加筆・修正しながら更新中)


「ならば、神殿の結界をどうやって破った?」


誰もが抱く疑問を口にしながら、剣先を喉元でピタリと止めた王子に


「あの神殿の結界には、小さな綻びが出来てたんだよ。それを見つけ出した頭領が、闇の力を注ぎ込んで中に入ったんだ」


震える声で、やっと答えた男。


「マジかよ・・・」


それが本当ならば、姫さんの命が益々危ねぇ。

このガーランド国を始め、大陸にある各国の神殿と言ったら、何らかの儀式が行われる為だけに存在するもので、儀式の種類によってその場所も神官の数も変わる。

そして今、姫さんが居るのは、その中でも別格の本来ならば人間が足を踏み入れる事の無い神の絶対領域の筈だった場所。

その神殿が闇の力に侵されているのだとしたら・・・


「兄さん・・・」


予想以上に厄介な事になっていると理解したのか、ニコルは困惑の色を隠せず


「───行くぞ」


男の喉元から剣を引いて歩き出した王子の表情は、険しくなる一方だった。



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