君の瞳に囚われて(加筆・修正しながら更新中)
「え? ちょっと待って! この男は、どうするのさ!?」
王子の殺気で腰が抜けたのか、地面にへたり込んでいる男を指差せば
「あぁ。その男には、神殿の入り口まで案内させるから連れて来い」
振り返りもしないで答えた王子は、やや焦っているようで・・・
肝心な事を忘れている。
「・・・どうやって、コイツを連れて行くのさ? 忘れてるかもしれないけど、俺たち徒歩じゃないんだぞ?」
俺のお嬢さんには、俺とニコルが乗るから既に定員オーバーだし。
まさかとは思うけど、王子がこの男をヴイーヴルに乗せていくのか?
「・・・・・・」
男をヴイーヴルに乗せた途端に、思い切り振り落とされると思うんだが・・・
そんな場面を、想像していれば
「ヴイーヴルの足に、括りつけておけ」
「・・・え・・・」
耳に届いた王子からの返事は、最早、男を人間扱いしていなかった。