君の瞳に囚われて(加筆・修正しながら更新中)
『もう大丈夫ね』
--遠くで声が聞こえる・・・・・誰だ?
人の気配を微かに感じて、ゆっくりと瞼を開ける。
数回、瞬きを繰り返してぼやける視界がクリアになってから、辺りを見回してみるが誰もいない。
上半身を起こして、自分の置かれている状況を確認する。
いつの間にか、ふかふかのベッドに寝かされていたようだ。
さほど広くない部屋には、ベッドと小さな丸いテーブルと椅子。
大きな出窓からは、淡いオレンジ色の光が差し込んでいた。
--あれ? 確か火竜にやられて体中に怪我したはずなのに・・・何で掠り傷一つないんだ?
傷だらけだったはずの体を、あちこち触ってみたが何ともない。
服も自分が着ていた服ではなく、ゆったりとした物に替わっていた。
床に足をついてみても痛みも無く、部屋のドアへとすんなり進めると、自分の手がドアノブに触れる前に扉が開く。
そこに立っていたのは、意識を失う前に見た俺を助けてくれた少女だった・・・
「目が覚めたのね」
急に目の前に現れたというのに、驚くこともなくにっこりと笑顔で話す彼女。
その手には2人分の紅茶と、焼き菓子が乗ったトレーを持っていた。
「君は誰? ここは一体・・・」