君の瞳に囚われて(加筆・修正しながら更新中)


「取り敢えず座って? お茶を飲みながら詳しく話すわ」


焼き菓子の美味しそうな香りをさせながら、テーブルへ向かう少女。

その後に自分もついて行き、案内された椅子に腰を掛ける。


「どうぞ」


目の前に出された紅茶の香りが鼻を擽る。


「・・・ありがとう」


少女も椅子に座ると、俺の顔をじっと見てくる。


「何から聞きたい?」


わからない事だらけで、色々聞きたいが先ずは・・・


「君は誰?」


一番気になっている事を聞いてみた。


「私の名前はフローラ。大陸の南側にあるラクスの村に住んでいるの」


にっこりと微笑みながら話すフローラ。


「じゃあ ここはラクスの村なのか?
俺はどのくらい意識を失っていた?
火竜にやられたはずなのに・・・何故、掠り傷一つないんだ?」


ゆったりとした雰囲気で話す彼女とは対照的に、気になる事を矢継ぎ早に聞く俺。

意識を失う前は、自分の国であるガーランド王国の東に位置する≪神の森≫にいた。

ガーランド王国は大陸の西側にあり、ラクスの村まで一番早い翼竜を使っても丸1日は掛かる。

もし此処がラクスの村だとしたら、どれほど気を失っていたのか・・・

あの火竜と対峙していた時は、まだ朝日が昇り始めた頃だったはずなのに、今は窓から差し込む光は明らかに夕日のようだ。


< 5 / 393 >

この作品をシェア

pagetop