君の瞳に囚われて(加筆・修正しながら更新中)
「ここはラクスの村ではないわ。あの森の中だもの」
確かに子供とはいえ、気を失った俺をそんなに遠くまで運べるとは思わないけど・・・
「それに、あなたが気を失ってからまだ2時間くらいよ。火竜にやられた傷がないのは、私が治したから」
彼女の口から発せられる言葉は、信じ難いものだった。
「2時間!? さっきは早朝だったはずだ。今はどう見ても夕方だろ!」
窓から入る日差しを指しながら、少しイラついた声を出してしまう。
フローラはきょとんとしていたが、俺の指の指す先を見ると「あぁ・・・」と、納得したのか席を立って窓の方へと歩いて行く。
「今は夕方ではないわ。ここは1年中この明るさなのよ」
「は?」
「≪神の森≫の中だけど、ここは異界だから・・・あなたの傷を治すには、ここに連れて来るしかなかったの」
≪異界≫
城に保管されている古文書で読んだ事はあるが、ただの伝説だと思っていた。
本当にここが異界なのか?
信じられなくて、自分も席を立ち窓から外を眺めてみる。
---何だ、此処は!?
空を見上げてみると、夕日のような光が差しているのに太陽は見当たらない。
この家の庭には辺り一面が見た事もない花が咲き乱れていて、近くには小川があるのか水の流れる音がしていた。
そして自分の目を疑ったのは、有り得ない物体が空中を飛んでいたからで。