君の瞳に囚われて(加筆・修正しながら更新中)



席に着いた彼女は、湯気の出なくなった紅茶を一口飲み込んだ。


「ロックもどうぞ?」


「あぁ」


俺も席に戻って紅茶を一口飲むと、喉が渇いていた事に気付く。


「傷は完治しているから、これを食べたら家まで送るわね」


彼女の言葉に無言で頷いた後、皿に乗っていた焼き菓子を1つ口に入れた。


「・・・うまい」


---何だこれ。メチャクチャうまい!!!


「ほんと!? 嬉しい! さっき私が焼いたの。気に入ったのなら持って帰る? たくさん作ったから」


こくりと頷けば「じゃあ、詰めて来るから食べて待ってて」と、部屋を出て行った彼女。

俺はテーブルに肘をつき、部屋を見回しながら、焼き菓子を次々と口に運んでいた。


暫くすると、手に大きな包みを抱えて戻ってきたフローラ。


「はい、どうぞ」


「ありがとう」


笑顔で手渡された包みは、まだ温かかった。


< 8 / 393 >

この作品をシェア

pagetop