君の瞳に囚われて(加筆・修正しながら更新中)
席に着いた彼女は、湯気の出なくなった紅茶を一口飲み込んだ。
「ロックもどうぞ?」
「あぁ」
俺も席に戻って紅茶を一口飲むと、喉が渇いていた事に気付く。
「傷は完治しているから、これを食べたら家まで送るわね」
彼女の言葉に無言で頷いた後、皿に乗っていた焼き菓子を1つ口に入れた。
「・・・うまい」
---何だこれ。メチャクチャうまい!!!
「ほんと!? 嬉しい! さっき私が焼いたの。気に入ったのなら持って帰る? たくさん作ったから」
こくりと頷けば「じゃあ、詰めて来るから食べて待ってて」と、部屋を出て行った彼女。
俺はテーブルに肘をつき、部屋を見回しながら、焼き菓子を次々と口に運んでいた。
暫くすると、手に大きな包みを抱えて戻ってきたフローラ。
「はい、どうぞ」
「ありがとう」
笑顔で手渡された包みは、まだ温かかった。