温め直したら、甘くなりました
――いつまで経っても安西のやつが仕事場に来ない。
俺一人の担当という訳でもないから他の作家の所に出向いている可能性もないことはないのだが……
一年のうち300日は俺にくっついているあいつが、今日に限って別の作家のところに行くとは考えにくい。
これはもう俺が居ぬ間に茜と二人でよろしくしているとしか思えない。
もしも今、家に帰ったら。浮気の現場に出くわすのだろうか……
それは茜が片山聖司とキスをしていたことより、断然見たくないシーンだ。
だけどこのままうやむやにするわけにもいかない。仕事にだって影響する。
ここは現場を押さえて二人からちゃんと事情を聴くしかないのか……
まるで地獄へ落ちることが決定しているかのごとく、最低点にまで落ち込んだ気持ちを抱えながら俺は家へと戻った。
まだ太陽は高く昇っている静かな午後……できるだけショックを和らげるために最悪の状況(茜が安西に組み敷かれて恍惚の表情を浮かべている)を想定しながらゆっくり玄関の扉を開けた。
足元には、予想通り見覚えのある男物の靴が揃えて置いてあった。
やはり、安西はこの家にいる……
恐る恐る廊下を進むと、幸い喘ぎ声は聞こえなかったがリビングの方からなにかの物音はしていて、もうどうにでもなれという気持ちで俺はひと思いに部屋の扉を開け放った。
「お前ら、俺に隠れてなにをしている……!!」