温め直したら、甘くなりました
「俺、今日から家にちゃんと帰る」
「え……?」
「どんなに忙しくても、茜の作ったご飯を一緒に食べる。たまには一緒に寝る。デートもする。だから……」
集の手が横から伸びてきて、私の手を握った。
集、震えてる。
今言ったことが本気なんだと、その手が語っていた。
「解ったわ。どうせ今のところ他に男の人が居るわけでもないし、集に時間をあげる。ただ、望みは薄いと思うわよ?」
「……ん。でも頑張る」
頑張る、だなんて。
小説家のくせに、こういう時に語彙が減るのは可愛いと思った。
もっと気の利いた台詞をきっとたくさん知っているのに、私に対してはそれを使わない。
そのことに何故だか優越感を感じる自分が居た。