温め直したら、甘くなりました
初めてのキス
集のしつこさ……もとい、私を振り向かせようとする情熱は日に日に増している。
絶対嫌だと言ったのに、週に一度だけ板前姿で私の隣に立つことまで始めた。
……まだ、お味噌汁しか作れないくせに。
「いや~茜ちゃんにダンナが居たとは知らなかった。こりゃ客足に影響が出るんじゃないの?」
「いや、でもなかなかの美男子だし、女性客は増えるかもしれない」
常連さんが冗談で言うのを、私はいつもの微笑みで受け止める。
本当は、迷惑なんですよねぇ……と、言いたいのに言えないのは、今日がその週に一度の厄日だからだ。
「――――茜はホステスではありません。よって、茜目当ての客など来なくていい」
ぴしゃりと言い放った集。お客さんは驚いて目を丸くした後で、盛大に笑い出した。
「だっはっは!こりゃ相当変わった亭主だな」
「さすが茜ちゃんだ、普通の男は選ばないんだな」
はぁぁ……
誰か会話の流れを変えてください。
そして集に剥かせたジャガイモが小さくなりすぎていて、煮たら消えてなくなりそうです。
それも、元に……いや、無理ですよね。