温め直したら、甘くなりました

お店はいつも、月曜日をお休みにしている。

お昼ごろまでたっぷり寝て、それから美味しいものを食べに街へ繰り出したり、反物市で、安くて素敵な着物を探したり……
それが私の贅沢な休日の過ごし方なんだけど。



「五時には神社に行かないとならないのか……」



私はベッドの上で、ごろんと寝返りを打った。最近はちゃんと家に帰ってきていた集がゆうべは帰って来なかったから、広い寝床には私ひとり。


別に二人で眠るときだって、“ただ”眠るだけだから、寂しくなんかないけど。


ファーストキスと同じ場所、同じ時間を指定して、集はいったい何を企んでいるんだろう。

私の言ったように、記憶の塗り替え?


だとしたら、今日こそは集とキス、できるんだ。



「……今日こそ、ってなによ」




私は自分の思考に突っ込みを入れる。まるでずっと、したくてしたくて仕方なかったみたいじゃない。


私の中で、集は一体どんな位置づけなんだろう。


夫婦としてやり直せる気は、まだしない。


だけどやっぱり……集だけは、今でもなにかが特別だ。

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