温め直したら、甘くなりました
たくさんのキスは私の脳を痺れさせ、スカートの中に手を入れて私の太腿を撫でる不届きな集を責めることも面倒になってしまった。
「あれ、今日は怒らないのか?」
……そういうことをわざわざ聞かないでほしい。
怒らないのは久々にあなたに欲情しているからよ、とでも言えばいいのだろうか。
そんなこと言ったら、逆に萎えそうなものだけど。
「……何も言わないなら、調子に乗らせてもらうけど」
集の手が、太腿の内側に移動する。触るか触らないかのぎりぎりの所まで指を滑らせてくるくせに、決して一番触れて欲しい部分には踏み入ってくれない。
……私をじらすなんて、集のくせに本当に、調子乗ってる。
「……もう、終わりよ」
私は唇を離してスカートの中から集の手を追い出すと、涼しげな表情を作って見せた。
本当は集が欲しくて欲しくてたまらないことは、胸の奥にしまい込んで、なんてことなかった風を装う。
一方集はなぜかしたり顔で微笑んでいて、私は怪訝そうに彼を見つめた。
「なによ、その顔」
「いや、茜の気持ちを取り戻すの、案外難しくないかもなと思って」
「……なんでよ」
「キスの最中、すごくいい顔してた。俺、ファーストキスに勝った自信ある」