温め直したら、甘くなりました
「来週なら、この辺りも八分は咲いてると思いますよ」
「そうか、わかった。じゃ、その日俺は朝早くから公園で場所取りをするから、執筆はできない」
「何を言ってるんですか。ノートパソコンを持っていけば済む話です。バッテリーの長く持つやつ俺持ってますから」
「俺持ってますって、まさか安西……」
「場所取り、俺もお供させてもらいますね!」
俺を追い詰めるときに生き生きする、それが安西という編集者だ……
――とにかく。
その日は茜と花見なのだから、気合を入れなくては。
少しは上達してきた料理の腕でも振るって、ひとつ立派な弁当でもつくってみようか。
あとは、上等な酒だな。
茜は酒に強いから、酔ったからといって口説きやすくなるわけではないが……
デートの計画を立てるというのは意外と楽しいもので、今までそれをさぼっていた自分が腹立たしかった。
その埋め合わせはこれから俺の一生をかけてちゃんとするから……
茜が俺をもう一度、本気で愛してくれますように……