温め直したら、甘くなりました
初めての看病

「とりあえず、この濡れた服を何とかしないとな……」



家に着くと集に脱衣所に連れて行かれ、タオルと新しい服を渡された。



「服、これで足りるか?寒気がするようならもっと持ってくるけど……」


「……それで、足りる」



そう答えて服とタオルを受け取ると集がこの場から立ち去ろうとしたので、私はその腕を掴んで引き留めた。



「どうした?」



どうした……んだろう。熱のせいかな。


行っちゃやだ――――咄嗟にそう思って手が出てしまった。



「集……脱が、せて?」



集をこの場に引き留めておく正当な理由がそれしか思いつかなくて、私はそんなことを口走ってしまった。


……だって、こんなにふらふらしているんだもの。一人じゃ、着替えられない。



「茜……それは極めて危険な誘いだと解って言ってるのか?」



集は真顔で、私を見据えた。眼鏡の奥の瞳がぎらぎらしてる。

今にも襲いかかってきそうな目をしてるけど……私、病人なんですけど。

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