温め直したら、甘くなりました
風邪が治るまでに二日も店を臨時休業にしてしまった。
その間に聖司……例のファーストキスの相手が注文した野菜を納品しに来てくれたらしいけど、私が居ないので無駄足をさせてしまった。
代わりに来るのが今日の午後。
私はお詫びも兼ねて、店で美味しいお茶とおやつを用意して待ってると、彼に伝えた。
「――これで、よし」
私は白い打ち粉が付いた手を、ぱんぱんとはらった。
たった今完成させた今日のおやつは、春らしく苺大福だ。
白い求肥の中の苺は、甘さ控えめの餡で包んでてっぺんから少し顔がのぞくようにした。
出来立てが一番美味しいから、聖司早く来ないかな……
ぼんやりそう思っていると、丁度よく裏口のチャイムが鳴った。
きっと、聖司だ。