温め直したら、甘くなりました
始めは、手のひらから腕へ。それから肩と鎖骨のくぼみを丁寧に洗って、その手を胸へ滑らせた。
「……贅沢だな、うちにソープ嬢が居るなんて」
集がそんなことを呟くので、私はまたしても湧き上がる嫉妬に心を乱される。
「そういうお店、行ったことあるの?」
「茜と出逢う前に一度だけな。取材という名目で」
「……そう。さぞかし上手だったんでしょうね」
そう言いながら急に荒っぽい手つきになった私を、集が笑う。
「今日の茜は解りやすくて可愛いな。大丈夫だ、茜の方が数百倍いい」
「……お世辞は結構です」
「お世辞じゃないって。ほら……」
集が私に、自分のを握らせた。私はその硬すぎる感触に、驚いて手を引っ込めてしまった。
うそ……だってまだ、上半身しか洗ってあげていないのに。
戸惑いながら彼を見ると、優しい瞳に見つめ返される。
「プロは確かに上手いが、ここまで俺をその気にさせてくれるのは茜だけだ。ほら、洗ってくれるんだろ、手が止まってる」
「……うん」