温め直したら、甘くなりました
「……今まで言ってなかったかしら」
「言われてない。俺はずっと待ってるんだけどな」
集が甘えたように言って、ちゅう、と胸に吸い付く。
んあ、と声を上げて身体を揺らせばお湯がどんどん湯船から溢れていく。
……おかしいな。私たち、少し前まで夫婦仲が冷めていたはず。
でも、今の私たちはお風呂の温度よりもきっと熱くて愛に溢れてる。
じゃあどうして冷めていたんだっけ……それを考えようとしても、甘い刺激が私の脳を喰い尽くそうとしているから思考は遮られて。
「集……あなたが、好きよ」
ただひとつ、快楽の波にさらわれそうになりながらでもそれだけは解るから……
私は素直にそう言って、彼にゆっくりとキスをした。
「……夢、じゃないよな」
唇を離すと、嬉しいのか悲しいのか解らない、泣きそうな顔で集が訊く。
「ん……夢じゃない」
「俺も茜が好きだ……大好きだ」
「知ってるわ、ずっと前から」
もう一度、どちらからともなく唇を重ねた。そしてずっとキスをしたかったであろう腰たちもようやく、深く深く繋がり合った。
もっと早く素直になっていればよかった。
私だって、出会った時からこの人に運命を感じていたんだもの。一度冷めたって、何度だって恋に落ちるわ。
私は達する直前、集に抱きつきながら心の内で呟いた。
集……あなたを、心から、愛してる。