ユリアノート
「ところで、ミヨさん。何か、ここまでの研究で引っかかることないですか? 私なにか変な感じがするんですよ」

「裁判資料のこと? それともサツキ毒薬のことで?」

「それもわかんないんです」

「その内、わかるでしょ。それより、明日は野口総理が視察に来られるわ。昼食も総理とご一緒しなければならないのよ。今日はもう帰りましょう」

「あっ! そうでした」
と松木は答えた。



民衆党の野口総理

松木は、彼が発掘現場の視察にやってくることは知っていたが、彼のことをあまり知らなかった。下の名前すらもあやふやであった。

松木は政治経済というものに疎い女なのである。

昼食時に失礼があってはいけない。松木はすぐに帰り、野口総理について調べた。


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