ユリアノート
翌朝10時、松木らが発掘調査をしているところに、数名のSPを従えた野口総理がやってきた。


「やあ、お久しぶりだね。鈴木君」
総理は鈴木にかるく手をふった。

「総理、はるばるこのような遠方まで、申し訳ありません。今日はじっくりとご視察くださいませ」
鈴木は作業の手をとめて総理に挨拶をした。


鈴木ミヨと野口総理は知った仲だったのである。
松木が後で鈴木に聞いたところ、今度の鈴木の入閣(文科省)の話は野口総理の力によるところが、大きいらしい。


「総理、こちらは松木さんです」
鈴木は松木を紹介した。

「あぁ、あなたが松木真理子さんでしたか。はじめまして」

「総理にお声をかけて頂きまして光栄です」
松木が野口総理と会話をしたのは、この日、これだけだった。

会食時も総理の相手は鈴木に任せておいて、松木はひたすら食べまくった。



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