ユリアノート
昼食後、松木は一人で公園のベンチに腰をおろしていた。

総理の相手は鈴木と山本に任せたのである。


松木は久しぶりに新聞を開いた。地方の新聞なので、野口総理の現場視察の記事が一面に載っている。
その記事の中に、来月末には衆議院選挙がある、とある。

このような大事な選挙の前に、一国の総理がこんな田舎に来ていてはダメである、ということは政治に疎い松木でもわかった。


ちょうど、新聞を読み終えたところ、鈴木がやってきた。

「総理は帰られたわ。あー、疲れた。でも、今日の接待で、私の入閣は間違いないわ。今、文科省の大臣が更迭されそうでしょ。次は私なのよ」

「おめでとうございます。政界進出ですね」

「ええ。もう、考古学に未練はないわ。だって、今回の発掘でユリア国の歴史的空白は全部埋まったし、もうこれ以上何も出てこないでしょう」

「そうですか。私はもう少しだけ調査してみます。何かが引っかかっているんです。それが、何かわかるまで」



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