ユリアノート
「あぁ、風呂敷に包まれていた首か? あれは今から埋葬するところだ」
山賊の男はそう言った。

「あれは、ユリア国のフジノ王子様の御首(みしるし)だ。俺はユリア国に持っていかねばならん。金はくれてやる。だが、御首は返してくれ……」

「わかった。お頭に言ってくるよ。首なら、返してくれるだろうよ。ちょっと待ってろ」


――――――


メシのいる部屋に山賊の頭が入ってきた。

「こちらが、フジノ王子様の御首でございます。お返しいたします。そして、これがあなた様から奪った金と身に付けていらっしゃった物でございます」
山賊の頭は奪った物をメシに返そうとした。

「ちょ、お頭。せっかくの金を……」

「だまれ! よりによって、ワシの命の恩人の御首を盗ってくる奴がおるか!」
山賊の頭は部下を殴った。

「命の恩人?」
とメシは山賊の頭に言った。



< 20 / 117 >

この作品をシェア

pagetop