ユリアノート
四国国際大学
山本教授研究室



松木は刀剣の研究に没頭していて、山本のノックの音に気がつかなかった。


「松木先生、失礼しますよ」
山本が声をかけると、松木はビクッとした。

「びっくりしたあ。おはようございます」
松木は挨拶すると同時に、山本の横にいる女を見た。

女は50代後半、すなわち山本と同い年ぐらいに見えたので、松木はその女を山本の細君だと思った。

「はじめまして。日本邪馬台国研究所の鈴木です」

「す、鈴木ミヨ所長ですか? はじめまして。松木です。鈴木先生の論文は全て拝読させて頂いております。ずっと、お会いしたいと思っておりました」

「ふふっ。嬉しいですわ。あの『私の彼氏』でノーヘル文学賞を受賞された松木先生に、そう言っていただけるなんて」




< 73 / 117 >

この作品をシェア

pagetop