ユリアノート
「どーする? 二件目行きます?」
鈴木が松木に問う。

「いえ、私は帰ります。ちょっと、飲み過ぎたみたいなので・・・・・・」

松木は全然酔っていなかったが、二人に気をつかった。

二人はできていると睨んでいたのである。

事実、二人は店を出た後、愛しあった。

松木は、その後一人で発掘現場に行ってみた。帰ってもすぐに眠れない、と思ったからである。

深夜の発掘現場というのもなかなかオツなものである。

松木が刀剣が出てきたところに行くと、懐中電灯を片手に作業をしている者がいた。

「誰?」

「あっ、松木先生。河合です。昼間、気になった箇所があったので、掘り返してたんですよ」

河合というのは四国国際大学の院生で、山本の助手をしている人物である。

「成果ありましたよ」

「なにか出たの?」


「はい。板なんですが、ユリア文字が書いてあります」

「でかした」


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