ユリアノート
発掘された裁判資料は鈴木所長によってすぐに訳された。

それは当時の判決文であった。
その判決文を以下に解説していく。


原告は青木次善とある。
(原告とは訴えを起こした者のこと)

被告は小江健二と石派書店とある。
(被告とは訴えられた者のこと)

原告の青木はアキの長男とある。

被告の小江は作家であり、石派書店は小江の書籍の出版社とある。

アキの子である青木という人物が作家の小江と石派書店を訴えていたのだ。


何を訴えて、何を要求していたのか? について
→作家の小江は、ユリア国と邪馬台国の戦争をノンフィクションで小説にし、石派書店から出版した。

そのタイトルは『ルナアノート』といった。
両国の戦争をとりわけルナア島争奪戦を中心に描いたものだ。悲惨な戦争にアンチテーゼを掲げた小説である。

ルナア島では、ユリア国本土よりも多くの住民が犠牲になったことは先にも述べてある。



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