~紫陽花の側に~





「ホントにごめんっ


胡蝶この通り」




会って行きなり謝る兄の




時沢 縁樹 22


ときざわ えんじゅ





「どしたの?」




兄貴はいつも優しくて


温かくてかっこいい…







「前に一緒に海に行ったときに写真とっただろ?」





「うん…」




「その写真を職場の机に飾ってたんだ…そしたら…」





表情が歪むお兄ちゃん






「社長が偶然みて…


で…会いたいって」





会いたいって


それだけ?



ならいいじゃない…





「それが……

胡蝶さえ良ければ結婚までしたいって…


社長は傲慢なんだ…


すまない」






あっ…そうよね…






これで断ったらお兄ちゃん



出世できないかも…







それは可哀想だな






私が高校の時に家出した母さんのかわりに



ずっと頑張ってくれた




大学もいかずに




働いてくれた…







少しでも恩返ししたいよ…







「いいよお兄ちゃん」














一瞬お兄ちゃんが悲しそうな顔になった









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