雨から晴れた空へ
 雑誌を見て、可愛い服や綺麗な服がたくさんあるけれど、どれも高い服ばかりで高校生のお小遣いで買うことは到底不可能だった。
 陽人は雑誌を買って、美雨は文庫本を買った。美雨が買った文庫本は数年前に単行本として売られていた本で金額が安くて、どこでも読むことができ、内容も面白いから買った。

「その作家、有名だよな?学校でも知らない奴はあまりいないぜ」
「面白い小説を書くことができるなんてすごいですよね」
「本当にな。そうだ、あっちへ行かないか?」
「参考書を置いているところにも椅子やベンチがあるのですか?」
「知らなかったか。だったら、ちょうどいいな。行けばわかるから、行こうぜ」

 陽人は参考書を置いている棚を通り過ぎると、小さなカフェがあった。書店とカフェの間に通路があり、そこで店が区切られている。
 他のカフェのようにメニューはスイーツとドリンクのみで多くないものの、写真を見ると、どれも美味しそうで、その中からカフェラテとエクレアを注文した。

「今日は友達と一緒じゃなかったんだな」
「そうですね。今津先輩は遅い時間まで何をなさっていたのですか?」
「俺はさっきまでクラスの奴と喋っていたぜ」
「そうですか・・・・・・」

 美雨がエクレアを食べようとしないので、陽人は首を傾げながら、カフェラテを飲んだ。
 見られていることに気づかない美雨は窓の外を見たままだった。陽人は雨が気になるのだろうかと思い、美雨に質問をぶつけた。

「雨が気になるのか?」
「いえ、今津先輩・・・・・・」
「何だ?」
「えっと・・・・・・好きな女の子のタイプを・・・・・・教えてもらってもいいですか?」
「美雨ちゃん、俺のことが好きなのか?」
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