雨から晴れた空へ
 まさかの自惚れ発言に美雨は強く否定をした。

「冗談だ、馬鹿!」
「そんな大声で言わなくても・・・・・・」
「大体何でそんなことを言わなきゃいけないんだ!?」
「いや、その・・・・・・一般の男の子はどんな女の子を好む傾向があるのかなと・・・・・・」
「俺は・・・・・・騒がしくない奴だったら・・・・・・」
「変な質問をしてもいいですか?キスをしたことがない女の子は嫌ですか?」

 美雨の質問に陽人はエクレアで喉を詰まらせ、激しく咳き込み、カフェラテを一気に飲んだ。

「さっきからどうした!?ずっと暗い上に変だぜ!?」
「暗い?」
「何か嫌なことがあったんだろ!?友達と喧嘩でもしたのか?」
「違います」

 美雨はエクレアを食べても、カフェラテを飲んでも心が満たされない。
 甘さは口の中に広がっているのに・・・・・・。

「美雨ちゃんはキスをしたことがないのか?」
「はい」
「俺は嫌じゃないぜ。むしろ、好きになった女の子がそうだったら、嬉しいぜ」
「私、気になっていた先輩に言われたんです」

 美雨が恋愛初心者で、キスの経験すらないことでフラれた。聞いたときはそれは重要なことなのかと考えたのだが、考えれば考えるほど、重要なのではと思うようになった。
 事情を知った陽人は美雨に顔を向けた。

「俺も恋愛初心者だぜ?」
「嘘、キ、キスは?」
「妹としかしないな。あ!昔の話な!美雨ちゃん、そいつにフラれて良かったぜ?」
「今津先輩、どういうことですか?」
「だってそいつは男慣れをした女の子がいいってことだろ?それはつまりそいつが遊び相手を求めている。そんな相手が彼氏になったら、美雨ちゃん、弄ばれていたかもしれないからな」
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