怖がりな兎さんとからかう狼さん
「あの、言いましたよね?私、男の人が苦手なんです」
「あぁ、言っていたな」
「だから、あまり近寄られると・・・・・・」
「克服しようとは今までに思わなかったのか?」
「恐怖心がかなり大きいので、思えなかったです」
「話はできるだろう?」
「一応・・・・・・」

 私がそう言うと、いきなり黙り込んだ。
 どうしたのだろう。いったい何を考えているのかな。
 不思議に思い、そっと顔を覗きこんだら、海翔先輩は少し顔を上げて、にやりと笑った。

「ひっ!」

 慌てて椅子を後ろに引いたが、手を掴まれてしまった。

「何かに似ているんだよな。風音は」

 いきなり何の話を始めるのですか?

「仔猫?ひよこ?いや、違う。あぁ、兎か」
「う、兎?」
「俺が少しでも近づいたり、脅かしたりすると、ビクビクと震えるから」
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