怖がりな兎さんとからかう狼さん
 ちょっと気になるな。結局教えてくれなかった。
 もしかして、何もないから誤魔化したのかな。
 やめよう、変なことを考えたら、気分が落ち込む。

「まだケーキが残っているぞ」

 少し俯いていたが、先輩の声で顔を上げた。

「食べます」

 食べ終えてすぐに会計をした。
 私は先に出口に向かい、外に出ると日差しが眩しかった。

「それじゃ、帰るか」
「はい。あの、ごちそうさまでした」
「あぁ。うわっ、暑いな。さっきより気温が高くなっていないか?」
「たぶん高くなっているでしょうね」
「プールが待ち遠しくなっている」
「あそこはあまり人が多くないからいいですよね」
「人が多かったら、行く気になれない」
「そうですね。動きにくくなりますからね」
「いつにするかはまた今度決めることにするか」
「そうですね」

 また一つ、新しい予定ができた。もう少し泳ぐことができたらいいな。
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