怖がりな兎さんとからかう狼さん

「海翔先輩」
「ん？」
「あの、私・・・・・・」
「言いたいことがあるなら言えよ。焦らなくていい。今日聞いて欲しいならこのまま聞くが、別の日がいいならそれでもいい」

　そう言ってくれて、心が少しだけ軽くなった。

「海翔先輩と会って、こうして話ができるようになって、自分でも驚いているんです。あんなに男の人が怖くて仕方がなかったのに」

　そう、高校生活で変わったのはここだ。

「私、過去に男子達に嫌なことをされて、それから怖いって思うようになったんです。男の人すべてが怖いわけではないって海翔先輩は教えてくれました。けど、それでも恐怖が消えなくて、どうすればいいのかわからないんです！」

　私、何を言い出すのだろう。こんなことを言っても、困らせてしまうだけなのに。
　海翔先輩は少し沈黙をおいた。