怖がりな兎さんとからかう狼さん
「俺といて安らげるときがあったか?」
「はい、ありました」
「俺もだ、一度だけじゃない。何度もある」

 私は携帯電話をぐっと握り締めた。

「何も大勢の男に慣れる必要はないだろう。俺のことで精一杯だろうからそのままでもいい」
「それは先輩が今まで振り回すから」
「なんだかんだ言って、それについていこうといつもしていたよな?だったらこれからも俺の傍にいたらいい」
「私で遊ぶのに?」
「食べられないだけましと思え。俺がいないときに広樹と話すときがあるよな?これ以上邪魔な奴が増えてみろ、俺はどうなる?」

 不利になることだけは避けたいのに。

「海翔先輩とこれからも学校生活を送れってことですか?他の人達を見ないで」
「そうだ。俺だって男だ。はじめは明らかに俺を悪人のように見ていたけど、今は違うだろう?」
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