怖がりな兎さんとからかう狼さん
「好きなように触れてみろ」

 ただししっかりと触れることと命令された。
 握手?つねる?こうしてみよう。
 パンッといい音が響いた。先輩の手を両手で挟んでみた。

「おい!」
「はい?」
「お前、それはないだろう」

 予想外の行動に驚きを通り過ぎて呆れていた。

「だめでしたか?」
「握手をするとばかり思っていた」
「はずれです」
「次は髪。間違っても引っ張るなよ」
「もちろんです」

 そんなひどいことをしません。
 それから次々と先輩に触れることによって、練習をした。

「じゃあ、何もしなくていい、目だけ閉じていろ」
「何で目を?」
「視界を遮断したら怖いだろう?それに慣れさせる」

 目を閉じて男の人に触れることってあんまりないと思うな。そう思いながらそっと目を閉じた。

「風音」

 唇に何かが触れた。うっすらと目を開けると、先輩の顔が間近にあった。
 キスをされている。先輩にキスをされている!

「怖くなかったよな?」
「なんてことをするのですか!?キスなんて・・・・・・」
「これからも練習につきあってやる。よかったな?」
「よくないです。もう、この人は嫌!」
「怖がり兎にこれからもペースを合わせてやるから」
「もう、知りません!先輩の馬鹿!」

 不器用に恋を進めていき、兎は狼に翻弄されながらも、ますます惹かれていく様になりました。
 兎から狼にキスをするときはまだまだ先の話。
< 115 / 115 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:3

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

涙のあとの笑顔

総文字数/130,151

恋愛(純愛)123ページ

表紙を見る
片翼を失った少女~壊れていく願い~

総文字数/3,731

恋愛(その他)4ページ

表紙を見る
凍りついた愛

総文字数/6,320

ミステリー・サスペンス13ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop