怖がりな兎さんとからかう狼さん
「狼ってどういうことだ?」
「どうも・・・・・・ないですよ」
「ふーん。そうか。無理矢理言わされたいのか」

 また恐ろしい笑顔に変わっている。服が少しだけ汗で張りついた。

「違います」

 否定するが、さらに笑みを深めた。

「言うのか、言わないのか?」
「言います」

 とは言ったものの、正直まだ迷っている。それに気づいたらしく、一気に顔を近づけた。
 思わず目を丸くすると、急に笑い出した。

「変な顔。あぁ、もとからか」

 いくら先輩と言えど、それは失礼です。
 片方の頬をプクーッと膨らますと、指先で突かれた。
 自分が何をされているのか、すぐにわかったと同時に滑るように椅子から落ちてしまった。

「痛い・・・・・・」
「どんくさいな、ほら」

 手を握られて、グイッと立ち上がらせた。
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