怖がりな兎さんとからかう狼さん
「それじゃあ、俺の弁当を作れ。いいな?」
「何でですか?早起きは無理です」

 第一、弁当を作ったことなんてないよ!

「目覚ましをセットすれば、いいだけだろ?水曜でいいから」
「本気で?」

 先輩にここまでする必要性を感じられない。

「もっと重い罰がいいか?それならここじゃなくて、別の場所で・・・・・・」

 私はブンブンと首を振った。これ以上この人の思い通りになったら、身が持たない。
 だいたい別の場所ってどこ?何考えているのか、わからない。

「私達、先輩後輩の関係ですよね?」
「今のところはな」

 思わず首を微かに傾げると、それを見て苦笑いをした。

「罰を一つだけにしているんだから、感謝してもいいと思うがな」

 どうしてそうなるんだろう。
 この人と出会って、まだそんなに経っていないけど、えらそうにして、まるで悪魔だと心の中で囁いた。
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