怖がりな兎さんとからかう狼さん
 自分自身、早くこの場を立ち去りたかった。頭を下げて、教室へ戻ろうとしたが、手を掴まれた。

「何で?」

 何この状況。ど、どうしよう・・・・・・。

「えっと、誰ともつきあう気がありませんので!」

 手を振り払い、教室へ走って行った。背後で何か叫んでいたが、振り向きもしなかった。
 全速力で走ったせいで、お腹が痛くなった。腹部をさえながら、廊下を歩いていくと、見たことがある人が立っていた。
 さっき、告白されたときに見た人だ。

「おい」

 ひっ!喋った!あ、当たり前か・・・・・・。

「何ですか?」

 私の質問に何の返答もせず、ゆっくりと歩み寄ってきた。
 私は少し怖くなり、少しずつ後ずさりをした。

「何で下がる?こっちに来い」
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