怖がりな兎さんとからかう狼さん
 残念そうな声で話していた。危ない危ない。

「今ホッとしたな?」
「もう食べたんですか?私、まだ少しだけ残っていますよ?」
「今度は話を逸らした」

 食べ続けて、数分後に空になり、ふたをして、弁当箱を袋にしまった。

「じゃあ、失礼します」

 立ち上ろうとしたら、声をかけられた。

「弁当箱ならもう受け取りました」
「そうじゃない。どこへ行く気だ?」
「図書室に・・・・・・」
「誰が許可をした?」
「許可なんて取る必要ないですよ」
「これからはそうだ」
「きちんと罰を受けたのだから、もういいですよね?」
「逃げ出さずに来たから、褒美をやるよ」

 どんな褒美なのかと考えていたら、信じられないことを言ってきた。

「ときどき俺の弁当を作ってもらう。嬉しいだろう?」

 嬉しくなんかない!この人、私を苦しめて楽しんでいる!!
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