怖がりな兎さんとからかう狼さん
 睨みつけながら命令してきたが、逃げ道はないだろうかと視線をさまよわせる。それに気がついたのか、溜息をついたあと、私との距離を一気に縮めた。
 何か話そうかと思ったが、恐怖で全身震えていて、何もできなかった。

「これ、おまえのだろ?」

 手渡されたのは私のハンカチだった。

「ありがとうございます。これ、どこで?」
「さっきの場所」

 さっきって、告白された場所!そうだった。見られたんだ、この人に。

「せっかく時間があったから、のんびり過ごそうと思っていたのに・・・・・・」

 そんなことを言われましても、私にはどうすることもできないよ。

「あ、そういえば、前にも告白されていたよな?」
「何で知っているんですか?」
「クラスの奴」

 前に告白してきた人はこの人のクラスメイトだったんだ。
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