怖がりな兎さんとからかう狼さん
「さてと、俺達も行くか」
「どこにですか?」
「もう少し人気のないところ」

 今いるところでも、人が数人しかいないのに、まだ求めるんだ。
 海翔先輩についていくと、保健室に到着した。

「保健室?」

 ガラリとドアを開けると、誰もいなかった。
 ソファに座ったものの、何も話をしない。
 何がしたいの?この人。
 鞄の中から小説を出して、読み始めた。

「座りにくくないか?」
「いえ、大丈夫ですよ」

 保健室に来たのは初めてで、ソファの座り心地は悪くない。

「ちょっと移動するか」

 近くに椅子があるので、そこに座るのかなと思いきや、いきなり私を持ち上げて、自分の膝に座らせた。

「い、移動って、ここですか!?」

 どうしていつもこんなことばかりするの!?

「誰か来ます!」
「大丈夫だ」

 どうすればいいのかな。密着度が日に日に上がってきている。
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