怖がりな兎さんとからかう狼さん
「風音、今から選択肢を与えるから好きなものを選べ」

 選択肢?また新たな遊び?

「このままの状態でいるか、本を読んで俺を楽しませるか、どっちにする?」

 なんて選択肢を与えるの。

「どっちも・・・・・・」
「もし、拒否をしたらどうしてやろうか?」

 拒否ができなくなった。道を塞がれてしまった。

「あの、本を・・・・・・」

 そう言うと、海翔先輩は満足そうにしていた。

「ほら、きちんと持たないと落とすぞ?」

 あれ?何でこの状態のまま?

「海翔先輩、私は本を選びましたよ」
「わかっている。ほら」
「私、隣に座りますから」
「もがけばもがくほど、強く抱きしめられるだけだぞ。それともわざとか?」
「そんなわけないじゃないですか!私はてっきりきちんとソファに座らせてくれるのかと・・・・・・」
「一言も言っていないだろう?都合のいいことを考えるな」

 ピシャリと言い放ち、私が読むのを待っている。

「読まないのか?お前を使って遊ぶぞ?」

 それから私はいつドアが開くのかと、ビクビクしながら本を読み続けていた。
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