怖がりな兎さんとからかう狼さん
「私ね、風音がきっかけがどうであれ、早川君と接するようになって、良かったとは思うよ。早川君自身も女子が嫌でたまらないみたいで、ほんの少しは風音の気持ちがわかるんじゃないかな」

 確かに女に対して、彼は良い印象を持っていない。そんな彼が私に興味を抱き、常に傍にいることが多くなったのは、不思議で仕方がなかった。

「私のどこに・・・・・・」

 惹かれたの?どうして私なの?
 双眸を閉じて考えていると、小さく囁く声がした。

「風音、もっと早川君のことを知っていったらいいよ」
「知る?」

 愛葉お姉ちゃんは黙って頷いた。

「少しずつ好きになっていったらいい。私も彼を好きになるまではそうしてきたから」

 ここでいう彼は海翔先輩のお兄さんのことだろう。
 はじめて出会ったとき、愛葉お姉ちゃんを優しく見つめていたことが強く印象に残っている。
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