怖がりな兎さんとからかう狼さん
 今のうちに行っても大丈夫そうだね。
 教室のドアをさらに開け、鞄を取りに行こうと、自分の机に向かった。
 すると、遠くで音がしたので向くと、海翔先輩がすでに教室の中にいた。 私の鞄を持って。

「来るのが遅かったな」
「そ、それ・・・・・・」

 見せびらかすように私の鞄を片手で持ち上げた。

「落ちていたから拾った」

 そんなわけない!きちんと机にかけていたのに、勝手に持ち出している!?

「それは私のです」
「知らなかったな。それで?」
「返してください」
「さて、どうしようか?」

 まるで言葉遊びを楽しんでいるように見えた。

「さっき、ひどいことを言われたしな・・・・・・」
「謝ります。言い過ぎました」

 頭を下げて謝罪をしたが、それでは満足しないようだ。

「明日は休みだから、つきあってもらうか」
「どこにですか?」

 予想していないところに連れて来られた。
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