怖がりな兎さんとからかう狼さん
「行くか?」
「はい!」

 そのまま俺を通り過ぎて歩き出そうとしていたので、手をとって、俺が前に出て、ぬいぐるみのところまで歩いていった。
 手を振り解かれることはなかった。俺はしっかりと手を握りなおした。

「お持ち帰りをしたい」

 風音はうっとりとしていた。特に兎に心を奪われているようだ。

「この子達も・・・・・・」

 他にもくまやコアラなども見ていた。ぬいぐるみから視線をはずしたかと思うと、値札を見ていた。

「どれがいいんだ?」
「その、迷っていて・・・・・・」

 唸りながら再びぬいぐるみとにらめっこをしている。

「一つに絞らなきゃ・・・・・・」
「いいんじゃないか?複数で」
「でも、あまりお金を使いすぎるのは・・・・・・」
「どれが欲しい?」
「兎とくまが欲しいです」
「特別に買ってやる」

 するとあいつは驚きながら、自分で払うと言ってきた。

「いいから人の好意に甘えろよ」
「はい、あの、ありがとうございます!」
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