怖がりな兎さんとからかう狼さん
 勢いよく頭を下げてから、他の商品を見に行った。

「本当に小動物みたいだな」

 風音の背を見て、そう思った。
 今度は食べ物に目を向けていた。

「そんなでかい箱のものを一人で食う気か?」
「違います。家族のお土産です」
「本当に仲がいいよな」
「でも、ときどきお姉ちゃんと喧嘩をすることはありますよ」
「ちょっと意外。あいつが怒ったところなんて見たことがないからな」
「怒ると怖いですね」

 風音の横顔を見ると、何かを思い出しているようだ。
 土産を買い終え、駅まで歩いた。

「そうだ」

 ピタリと足を止めて、次に俺が何を言うのか、待っている。

「たまには風音から俺の手を握れ」
「手?」
「そう。ほら」

 急かすと、弱弱しく握ってきた。

「もっと強く握れよ。それじゃ握ったうちに入らない」

 促すと、今度は力を込めて握ってきた。

「そのままにしておけよ。いいな。ん?どうした?」
「大きい手・・・・・・」
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