怖がりな兎さんとからかう狼さん
 愛葉お姉ちゃんと私がコソコソと話していると、海翔先輩は怪訝そうな顔をしていた。

「さっきから何を話しているんだ?」
「ううん、なんでもないよ」

 愛葉お姉ちゃんは何事もなかったかのように言った。

「お弁当を食べようか、時間がなくなっちゃうよ」

 広樹さんがそう言ったので、私達はお弁当を食べ始めた。

「いつも愛葉と一緒に食べているけど、たまにはこうして四人で食べるのもいいね」
「そうだね」
「風音、またお土産よろしくね。美味しかったから」
「うん、また広場へ行ったら、買うから。私も気に入ったしね」
「何の話?」
「この前、風音が早川君と動物ふれあい広場に行って、そのときに買ってきてくれたお土産が美味しかったから、またお願いねって言ったの」
「一緒に?あぁ、そういえば、朝早くから出掛けたと思ったら、風音ちゃんに会いに行ってたんだ」
「そうだ」
「珍しいね。あれだけ女嫌いだったのに、風音ちゃん、どうやって海翔を変えたの?」
「どうやってと言われましても・・・・・・」
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