怖がりな兎さんとからかう狼さん
「難しいですね。そもそも主人公を好きになった男性がもっと知りたいと思うあまりに主人公の大切な人を利用したから」
「自分でまいた種だからといって、諦めるか?」
「いえ、だけど、悪いことをしたのだから、それで信じてもらえず、拒絶されるのは当然だと思います。せめて主人公をそっと守ろうとしますね」
「俺だったら、そんなことをしない」

 海翔先輩を見ると、真剣な表情に変わっていた。

「俺はどんなに拒絶されても、接するし、そいつにだけは本音でぶつかる。好きなら尚更だ」
「それがさらに相手を傷つけることになっても・・・・・・ですか?」
「そうだ。たとえ、傷つけて泣かせてしまってもだ」

 私は言葉が続かず、黙ったままでいることしかできなかった。
 同じものを読んだのに、考えることは違うんだなと心の中で思った。
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