怖がりな兎さんとからかう狼さん
「今は遊びの時間だからな。お前をどうやって遊ぼうか?」

 慌てて立ち上がろうとしたら、しっかりと手を掴まれた。

「馬鹿が。逃がすと思うか?」

 強く掴まれていて、振りほどこうとしても、効果がなかった。

「抵抗するな。そんなことをしても無駄だってことはよくわかっているくせに・・・・・・」
「私が喜ぶようなことをしないですよね?」
「そうだな・・・・・・」

 廊下から足音が響いている。足音は次第に大きくなり、図書室でピタリと止まった。
 海翔先輩は小さく舌打ちをして、私の手を引き、本棚のところに隠れた。
 声を出しそうになったが、大きな手で塞がれてしまったので、声を出せなかった。
 図書室に入ってきたのは、知らない生徒達だった。
 彼女達の会話がここまで耳に届く。

「今日も疲れたー。体育がハードだった!」
「本当だよね。あそこまで走らせなくてもいいじゃんって思った!」
「でもさ、他の組と合同だったから、良かったよね!」
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