怖がりな兎さんとからかう狼さん
 はじめて学食に来たので、人の多さに驚くばかりだった。
 買った食券を渡してから、数分後に頼んだものができた。
 次々と押し寄せてくる人達をよけながら、自分の席へ戻った。

「ふふっ、ここまで来るの、大変だったみたいだね」
「ずっと見ていたんですか?」
「うん。面白かったよ」

 少し睨みつけてから、昼食を食べた。

「一年生だよね?俺は二年生だよ」
「先輩なんですね」
「うん。何組?」
「一組ですよ」
「俺の弟と一緒だ」
「私も一つ違いの妹がいますよ」
「そうなんだ。その子も来年、ここに来るの?」
「一応ここも志望しているみたいです」
「そうなんだ」

 限られた時間の中、談笑を楽しむことができた。

「それじゃ、教室へ戻ります」
「うん。またね」

 この日からときどき広樹先輩と会うようになった。

「告白したのって、広樹さんからだよね?」
「そうだよ。でも、最初は断ったの」

 知らなかった。新情報だ。
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