怖がりな兎さんとからかう狼さん
 孤独な男のことを知っている数少ない知人が女の子に余計なことをふき込んだ。
 彼の過去についてだ。家族は病死して、彼は精神的に追いつめられた。友達は次第に離れていくようになった。
 どんどん暗くなっていき、自ら人を遠ざけるようになった。
 その話を聞いて女の子はさらに自分は何かできないかと思うようになっていった。

「うっとおしいな」

 これも恋って呼ぶことができるのかな。
 パタンと本を閉じてしまったあと、部屋の電気を消して眠った。
 朝、雨の音で目が覚めた。時計を見ると、六時だった。

「すごい雨・・・・・・」

 雷、鳴らないといいけど、大丈夫かな。
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