怖がりな兎さんとからかう狼さん
「怖さを紛らわしてやろうか」
「どうやってですか?」
「俺の言うとおりにしたら、紛らわしてやるが、どうする?」

 これも何かの罠だと思いつつも、他にいい方法が思い浮かばないので、頷いた。
 満足そうに笑って、口を開いた。
 先輩が私に手を伸ばそうとしたら、部屋が真っ暗になった。

「停電」

 最悪。さっさと電気がついたらいいのに・・・・・・。
 耳に先輩の指が触れた。

「か、海翔先輩?」
「おい、動くな」

 耳の中に何か入れている?
 音楽が聴こえてきた。音楽プレーヤーのおかげで雷の音はかき消された。
 数分後に教室の電気がついて、ヘッドホンをはずした。

「少しはましだっただろ?」
「はい」

 音楽プレーヤーを先輩に返して、窓の外を見つめた。

「明日はやみますか?」
「降るらしい」
「嫌だな」
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