怖がりな兎さんとからかう狼さん
 本当は知りたい。だからと言って・・・・・・。
 苦悩の末、私は決断を下した。

「一緒にいたいです」

 声が震えていたのは先輩も気づいているだろう。

「誰と?」

 真剣な表情を見て、思考が追いつかなかった。

「海翔先輩と」

 そう言うと、先輩は私の額に口づけて、そのまま自分へ引き寄せた。

「さっき、風音にしたこと」
「何するんですか!」
「わからなかった?じゃあ、もう一回」
「わ、わかっています。わかっていますから!」

 慌てて先輩を引き剥がした。

「こんな時間か。風音の百面相も見れたし、戻るとするか」

 何事もなかったように振舞う先輩の背を睨みつけることしかできなかった。

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