怖がりな兎さんとからかう狼さん
本について語る兎
 午後の授業を集中して聞いていた。昼休みに海翔先輩にキスされて、そのことばかり考えそうになっているので、一時記憶を忘れるようにノートに黒板に書かれていることを書き写したりしていた。
 教科書を誰かに読ませようと、視線をさまよわせた。私と目があって、当てられた。短いところだったので、すぐに読み終わった。
 いくら授業に耳を傾けていても、頭の片隅に先輩は存在していた。
 授業が終わり、係りのものに問題集を提出してから、教室をすばやく出た。
 今は先輩に会いたくないと思いながら、廊下を歩いていると、誰かにぶつかった。
 嫌な予感がする・・・・・・。

「よ」

 やっぱり海翔先輩だった。

「お疲れ様です」
「何でそんな嫌そうな顔をするんだ?」
「そんなことしていませんよ」

 そう言い返したけど、通用していない。
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